ハコスカ全塗装②|秘密兵器“パタパタ”投入。剥げば剥ぐほどサビが出てくる洗礼

施工レポート
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こんにちは、板金ボーイです。

ハコスカ全塗装シリーズの第2回です。前回(ハコスカ全塗装①|ルーフを研いだら出てきた「ちぢれ」の正体と全剥離の決断)ではラッカー塗料のちぢれ問題にぶち当たり、全剥離を決断したところまでお伝えしました。

今回はいよいよ本格的な作業に入ります。やることは大きく3つ。モール・ガラスのバラし、秘密兵器を使った全面研磨、そしてサビとの遭遇です。

【この記事で知れること】

旧車のモール・ガラス外しで気をつけるべきポイント

オービタルサンダー(パタパタ)の特徴と使い心地

ダブルアクションサンダーとの使い分け

240番まで研磨する理由

旧車の塗膜の下に潜むサビの実態

錆止め(防錆剤)の役割と限界

前回のおさらいと今回の作業内容

前回、ルーフのパテ研ぎでラッカー塗料のちぢれが発覚し、ボディ全体の塗膜を剥離する方針に切り替えました。

全剥離するためには、ボディに付いているモール、ゴム類、フロントガラスなどを全て外す必要があります。塗膜の下に隠れている部分も含めて、一切の妥協なく研磨するためです。

今回はその「バラし作業」からスタートします。

モール・ガラス外し|50年モノのゴムとの格闘

不要な旧塗膜を全部剥ぐには、モールやフロントガラスも徹底的に外さないときちんと処理できません。慎重に外していきます。

ゴムはもはやプラスチック。慎重に外す理由

写真ではわかりにくいですが、50年以上経ったゴム類はもはやプラスチックのように硬化しています。柔軟性がゼロなので、無理に引っ張ると割れてしまう。切るのにも一苦労です。

ただ、意外にも鉄部分は腐りきっておらず、状態の良いものでした。旧車でここが生きているのはラッキーです。

コーキングの劣化と打ち替えの必要性

雨どい(僕は勝手にそう呼んでいます)部分のコーキングも確認しました。マイナスドライバーでいじると簡単にめくれていく状態です。

コーキングとは、パネルの合わせ目に充填する防水用のシール材のことです。これが劣化していると、隙間から雨水が侵入してサビの原因になります。塗装の前にすべて打ち直す予定です。

秘密兵器”パタパタ”登場|オービタルサンダーとは

モール類を外し終えたら、いよいよボディ全面の研磨に入ります。ここで登場するのが僕の秘密兵器です。

この細長いエア工具、なんだと思いますか?

埼玉精機 U-73J の使い心地

そうです。パタパタです。(僕が勝手にそう呼んでいます)

正式名称はオービタルサンダー(ウェーブカッター)。埼玉精機が販売している、平面や緩やかな曲面の面出しに最適な研磨工具です。

使い方は、片方の手で本体を押さえながら、スイッチを押して振動させて研いでいきます。ルーフのような広い面積では、ダブルアクションサンダーで地道にやるよりも圧倒的な時短になります。

ただし、振動がダイレクトに手に伝わるので、押さえている手がものすごく痺れます。痺れの向こう側にいけます笑

それでも、この道具なしでは旧車の全塗装は考えられないくらい、僕にとって欠かせない一台です。

詳しいスペックは埼玉精機さんの公式ページをどうぞ:https://www.saitama-seiki.co.jp/products/u-73j/

なぜルーフの広い面にはオービタルサンダーなのか

ルーフやボンネットのような広くて平らなパネルは、ダブルアクションサンダーで研ぐと時間がかかりすぎます。パッドがφ125mm程度なので、カバーできる面積が小さいので全体を研ぐとなるとムラになりやすく、低いところまで削ってしまうため悪循環に陥ってしまいやすいんです。

オービタルサンダーは長方形のパッドで一度に広い面積を研げるので、大パネルの作業効率が段違いです。しかも力が均一にかかるため、研ぎムラが出にくい(低いところに入りにくく高いところを削るため)。「面」を出すにはこれが一番です。

先ほど少し触れたように、逆に細かい凹みや入り組んだ部分はダブルアクションサンダーの方が向いています。道具はそれぞれ得意分野が違うので、工程ごとに持ち替えるのが基本です。

📖 もう少し詳しく:オービタルサンダーとダブルアクションサンダーの違い

オービタルサンダーは長方形や円形のパッドが楕円運動で前後するタイプで、力が平均的にかかるため均一な研ぎができます。広い面の研磨に向いていますが、研削力はダブルアクションサンダーより穏やかです。

一方、ダブルアクションサンダーは円形パッドが偏心回転+自転の二重動作で研磨するタイプです。研削力と仕上がりのバランスが良く、足付けからパテ研ぎまで幅広く使える万能型。

広い面をオービタルサンダー、細部や曲面をダブルアクションサンダーで攻める、という使い分けが効率的です。

240番まで研磨する理由

今回の研磨は240番で終えています。「なぜ240番なのか」と疑問に思う方もいるかもしれません。

240番は、旧塗膜を剥がした後の下地を整えて、次の工程(サフェーサー吹き)に最適な足付け面を作るための番手です。これより粗い番手(80番や120番)で止めると、ペーパー傷がサフェーサーの上から透けて見える可能性があります。逆にこれより細かくしすぎると、サフェーサーの密着が弱くなることもあります。

240番は「粗すぎず、細かすぎず」のちょうどいいポイント。ここまで研ぎ上げれば、安心してサフェーサーに進めます。

剥げば剥ぐほどサビが出てくる

研磨を進めていくと、予想通りの展開が待っていました。

パテの下に隠れていた錆の正体

どこを剥いでもサビ、サビ、サビ。しかもどれも可愛くないサビ方をしています。

過去の補修で錆止めを塗った上にパテを盛っていたようですが、パテごと年月とともに浮いてきてしまっていました。錆止めの上にパテを直接乗せても、密着不良を起こしてこうなることがあります。

正直、旧車の全塗装で「サビが一切出てこない」ということはまずありません。出てくるのは想定内。問題は、そのサビをどう処理するかです。今回はこの後の工程できっちりサビを落として、防錆処理をやり直します。

📖 もう少し詳しく:錆止め(防錆剤)の役割と限界

錆止め(防錆剤)は、鉄の表面に被膜を作って酸素や水分との接触を防ぐことで、酸化(サビ)の進行を遅らせるものです。あくまで「遅らせる」であって「止める」ではありません。

僕自身、ペーパーで削るとすぐに赤錆が出てくるのを見て「これ本当に意味あるのか?」と感じることがあります。防錆剤は表面に蓋をして酸化を遅らせるものですが、すでに内部まで進行している錆には効果が限定的です。

だからこそ、旧車のように長い年月を経た車体では、目に見える表面だけでなく、鉄板の裏側やパネルの合わせ目にまで錆が進行していないか、徹底的に確認する必要があります。「サフェーサーだけでいいのでは?」と思うこともありますが、サフェーサーは防錆というよりも塗装の下地材なので、役割が異なります。両方やるのが正解です。

今回使った道具まとめ

今回の作業で活躍した道具を紹介します。

埼玉精機 オービタルサンダー U-73J
広い面の研磨で圧倒的な時短になる一台です。手の痺れと引き換えに、均一な研ぎ面が手に入ります。旧車の全塗装や大きなパネルの面出しをする職人さんには、ぜひ一度使ってみてほしいです。

次回予告

次回はいよいよクォーターパネルに取りかかります。サーフラインの波打ち、広範囲なサビ、そしてラッカー塗装のちぢれが再登場。クォーターパネルの悲惨な現状をリアルにお伝えします。

→ ハコスカ全塗装③はこちら

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