板金塗装で使うサンダーの種類と選び方|現役職人が現場目線で徹底解説

板金塗装の道具
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こんにちは、板金ボーイです。
今回は板金塗装の現場で毎日お世話になっている「サンダー」について、がっつり解説していきます。
サンダーは種類が多くて「結局どれを使えばいいの?」と迷う方も多いと思います。5年間毎日サンダーを握ってきた僕が、現場のリアルな使用感も交えてお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

📋 この記事で知れること

  • サンダーとは何か?どんな場面で使う道具なのか
  • サンダーの種類(ダブルアクションサンダー・ディスクサンダー・オービタルサンダー・ベルトサンダー・ギアアクションサンダーなど)の特徴と違い
  • エア式と電動式のメリット・デメリット
  • 作業内容ごとの使い分け方
  • オービットダイヤとパッドの硬さの選び方
  • サンダーのメンテナンス方法
  • 代表的なメーカーの紹介

サンダーとは

サンダーは、乾燥・硬化したパテの面出し研磨をはじめ、塗膜の剥離や足付けなど、板金塗装のほぼ全工程で使う研磨工具です。サンドペーパーと組み合わせて、高速で回るパッドの回転力で研磨します。

手研ぎでも同じ作業はできますが、スピードと仕上がりの均一さではサンダーにはかないません。板金屋にとっては包丁のようなもので、これがないと仕事になりません。

エア式と電動式の違い

サンダーには大きく分けてエア式(コンプレッサーの圧縮空気で羽根を回す)と電動式(モーターで回す)の2種類があります。

エア式

手軽で使いやすく、種類が豊富なので作業内容に合わせて選べます。車体修理工場ではほぼ全員がエア式を使っています。軽いので長時間使っても手が疲れにくいのも大きなメリットです。

デメリットはコンプレッサーが必要なこと。場所も取りますし、初期投資もかかります。エアホースの取り回しも慣れが必要です。

電動式

回転力とパワーが一定のため安定性が良く、研削力も大きいです。コンセントがあればどこでも使えるので、DIYには向いています。

ただし本体がエア式より大きくて重いため、取り回しは劣ります。種類も少ないです。

サンダーの種類

ここからが本題です。板金塗装で使うサンダーの種類を1つずつ解説していきます。

③-1 ダブルアクションサンダー

板金塗装の現場で最も使用頻度が高いサンダーです。円形パッドが楕円運動しつつ、パッド全体も回転する「二重偏心回転」が特徴です。種類が多く、用途が幅広いので、「とりあえずこれを持っておけ」という一台です。

僕も一日の作業の中で一番手に取る回数が多いのがダブルアクションサンダーです。パテの粗研ぎから足付け、プラサフ研ぎまでこれ一台でカバーできます。

ダブルアクションサンダーとオービタルサンダーには「オービットダイヤ」という数値があります。これは軸が偏心して回転する偏心径のことで、この数値が大きいほど研削力が強くなります。

粗研ぎ用

オービットダイヤが6〜10mmと大きく、回転数は7,500〜10,000rpmです。研削力が強いですが、ディスクサンダーやオービタルサンダーに比べてペーパー傷が浅いのがメリットです。番手の粗いペーパーでも効率よく研げるので、パテの粗研ぎに最適です。ペーパーサイズは一般的にφ125mm、広い面積を作業する場合は150mmを使います。

小面積用

オービットダイヤが3〜4.8mmと小さく、回転数は6,000〜9,000rpmです。回転数は高くても研削力が弱く、振動が少ないため、きれいな研磨ができます。足付けやプラサフ研ぎに適しています。ペーパーサイズはφ125mmが一般的で、50mm、75mm、100mmのミニサイズもあります。

📖 もう少し詳しく

ダブルアクションサンダーの「ダブル」は、パッド自体の回転と偏心運動の二重動作のことです。この仕組みのおかげで研磨面に熱が集中しにくく、ペーパーの持ちが良くなります。オービットダイヤの数値が大きいほど1回転あたりの研磨面積が広くなるため研削力が増しますが、ペーパー傷も深くなるので、用途に合わせた使い分けが大切です。

③-2 ディスクサンダー(シングルサンダー)

円形パッドが高速で一方向に回転するサンダーです。研削力が最も強く、旧塗膜の剥離が主な用途です。塗膜の剥離に特化したものを「シングル(アクション)サンダー」と呼ぶこともあります。

回転数は10,000〜12,000rpmの高速回転タイプと、2,200〜5,500rpmの低速回転タイプがあります。ディスク径は100〜200mmまで各種ありますが、一般的には125mm(5インチ)と150mm(6インチ)がよく使われます。

📖 もう少し詳しく

ディスクサンダーはパッドが「単純円回転」なので、回転が止まらない分だけ研削力が圧倒的に強くなります。ただしその分、回転方向に沿った深い傷がつきやすいため、仕上げ研磨には不向きです。荒仕事専用と割り切って使うのがポイントです。

③-3 オービタルサンダー

長方形または円形のパッドが円を描きながら前後する楕円運動をするサンダーです。回転数は6,000〜9,000rpm。ダブルアクションサンダーと比較すると研削力は劣りますが、力が平均的にかかるため均一な研ぎができます。使いやすくて癖がないので、パテ研ぎ用として重宝されています。

僕の現場では「パタパタ」と呼んでいます。振動音からそう呼ぶ職人が多いです。サイズ展開が豊富で、作業面積に合わせて使い分けます。

大型・中型タイプ

30×30cm以上の広い面積のパテ研ぎに使用します。オービットダイヤが6〜7mm。ペーパーサイズは大型が115×220mm、中型が100×175mmです。

小型タイプ

25×25cm以下の小面積のパテ研ぎ、プラサフ研磨、足付けに使用します。オービットダイヤが3〜5mm。ペーパーサイズが75×150mmです。

ロングタイプ

サイドパネルやスライドドアなど広い面積のパテ研ぎに使用します。オービットダイヤが4.6〜5mm。ペーパーサイズが100×400mmです。

円形オービタル

広い面積のパテの粗研ぎに使用します。オービットダイヤが7mm。ペーパーサイズがφ100mm、125mm、150mmです。

③-4 ベルトサンダー

綿布に研磨粒子を接着した研磨ベルトが無限軌道を描き、一方向に回転するサンダーです。ベルトの幅だけ研磨できるため、狭い箇所への使用に便利です。回転数は9,000〜16,000rpm、サイズは幅10〜20mmです。

主な用途は、小さな凹みの塗膜剥離、スポット溶接箇所の塗膜剥離、ミグ溶接部の仕上げ研磨などです。

ベルトサンダーは「ここだけピンポイントで削りたい」という場面で重宝します。ダブルアクションサンダーだとパッドが大きすぎて周りまで削ってしまう箇所に、ベルトサンダーなら狙ったところだけ攻められます。地味ですが、持っておくと作業の幅が広がる一台です。

③-5 ギアアクションサンダー

ギア駆動で回転するサンダーで、ダブルアクションサンダーとディスクサンダーの中間的な性格を持っています。ダブルアクションサンダーより研削力が強く、ディスクサンダーより扱いやすい、ちょうどいいバランスの道具です。

③-6 ストレート(ライン)サンダー

細長い長方形のパッドが前後運動するサンダーです。プレスラインなどの直線的なラインを出す作業に適しています。名前の通り「真っ直ぐ研ぐ」のが得意な道具です。

③-7 付加機能を持つサンダー

基本のサンダーに付加機能を装備したタイプもいくつか紹介します。

吸塵式サンダー:穴の開いたパッドとペーパーを使い、研磨で出る粉塵を穴から吸い上げてホースを通して集塵袋に集めるタイプです。作業場を汚しにくく、粉塵を吸い込むリスクも減ります。

水研ぎ用サンダー:プラサフの最終仕上げなど精密な研磨で使う、ペーパー傷が極めて細かいダブルアクションサンダーまたはオービタルサンダーです。

面出し用(ガイド付き)サンダー:ダブルアクションサンダーの左右にガイドを付けて、削り過ぎを防止するタイプです。ゆがみ取りとライン出しに適しています。

作業ごとの使い分け

以下の表で整理します。

作業内容最適なサンダーポイント
旧塗膜の剥離ディスクサンダー(高速)研削力が最も強い。回転方向に傷がつくので仕上げには不向き
パテの粗研ぎ(80番前後)ダブルアクションサンダー(粗研ぎ用)またはギアアクションサンダーオービットダイヤ6〜10mmの大きいタイプを選ぶ
パテの中研ぎ(120〜180番)ダブルアクションサンダーまたはオービタルサンダー面積に合わせてサイズを選ぶ
広い面のパテ研ぎオービタルサンダー(大型・ロングタイプ)均一に研げるのが強み
足付け(240〜400番)ダブルアクションサンダー(小面積用)オービットダイヤ3〜4.8mmの小さいタイプ
プラサフ研ぎダブルアクションサンダー(小面積用)振動が少なくきれいに仕上がる
狭い箇所・溶接部ベルトサンダーピンポイントで攻められる
ライン出しストレートサンダーまたは面出し用サンダー直線を出す作業に特化

実際の現場では1台で全部やるのではなく、工程ごとに持ち替えるのが普通です。僕の場合は最低でもダブルアクションサンダー(粗研ぎ用と小面積用の2台)とディスクサンダーは常に手元に置いています。

パッドの硬さの使い分け

サンダーの性能を左右するのは、実は本体だけではありません。ペーパーを貼り付けるパッドの硬さも重要です。

硬めのパッド

力がそのまま伝わるので研削力が強く、ペーパー傷が深く入ります。細かい凸凹は削り取ってしまう(ならしてしまう)ため、曲面では削り過ぎに注意が必要です。用途は粗研ぎ・面出しに向いています。

軟らかめのパッド

力が一部吸収されて伝わるため研削力は穏やかで、ペーパー傷が浅くなります。細かい凸凹は変形してのりこえる(追従する)ため、曲面ではアール(曲線)に沿って研磨できます。用途は足付け・仕上げ研磨に向いています。

パッドの硬さは意外と見落とされがちですが、同じサンダーでもパッドを変えるだけで仕上がりがガラッと変わります。曲面の多いフェンダーを研ぐ時にはソフトパッド、平面をビシッと出したい時にはハードパッドと、意識して使い分けています。

メンテナンスの仕方

サンダーはちゃんとメンテナンスすれば長く使えます。

エアサンダーのメンテナンス

使用後にエアブローで粉塵を飛ばしてください。パテの粉が内部に入ると故障の原因になります。週に1回程度、エア注入口から専用オイル(タービンオイル)を2〜3滴差して空回しします。エアに水分が混じるとサビの原因になるので、エアフィルター(ウォーターセパレーター)の水抜きをこまめにやってください。パッドが摩耗したら早めに交換しましょう。すり減ったまま使うと研磨ムラの原因になります。

電動サンダーのメンテナンス

通気口にパテの粉が詰まるとモーターが焼けます。定期的にエアブローか掃除機で吸い出してください。カーボンブラシの摩耗は機種によって交換時期が異なります。

共通の注意点

ペーパーがズレたまま使わないでください。パッドの偏摩耗につながります。落としたら動作確認を。内部のベアリングが歪むことがあります。サンダーの基本的な使い方は「パッドを面に軽く押し当てて、回転力を利用し、1ヵ所にとどめずに動かす」ことです。強く押しつけたり、同じ場所に当て続けると削り過ぎるので注意してください。

代表メーカー

コンパクトツール(COMPACT TOOL)

1969年創業、埼玉県志木市に本社を置く日本のエアーツール・電動工具メーカーです。国内メーカーの先駆けとしてエアー式サンディングツールの販売を開始した老舗で、製品ラインナップは150機種以上にのぼります。ダブルアクションサンダー・オービタルサンダー・ギアアクションサンダー・ベルトサンダーなど板金塗装に必要なサンダーを網羅しており、自動車板金・塗装業界で圧倒的なシェアを誇ります。吸塵式・非吸塵式の両ラインナップが充実しており、現場のニーズに細かく対応しているのが強みです。
👉 コンパクト・ツール 製品ラインナップ

埼玉精機

1961年創業、埼玉県熊谷市に本社を置く空気工具(エアツール)メーカーです。「現場からの声を取り上げ、お客様に喜ばれる製品の開発」を理念に、エアーツール一筋で50年以上の実績を持ちます。ダブルアクションサンダー・オービタルサンダー・ベルトサンダーなどをラインナップしており、部品の検査や組み立て後の性能検査など品質管理の徹底が特徴です。リーズナブルな価格設定で、コストパフォーマンスを重視する職人からも支持されています。
👉 埼玉精機 製品情報

3M

アメリカに本社を置く世界的な素材・テクノロジー企業で、研磨材分野では特に高い評価を得ています。板金塗装向けにはXtractシリーズのダブルアクションサンダーが有名で、吸塵機能と高精度な研磨性能を兼ね備えています。ロロック™サンダーやベルトサンダー、ピストルグリップのダブルアクションサンダーなど幅広いラインナップを誇ります。サンダー本体だけでなく、専用の研磨ペーパー(キュービトロン™IIシリーズなど)との組み合わせで使うことで、より高いパフォーマンスを発揮するのが特徴です。
👉 3M サンダー 製品一覧

まとめ

サンダーは板金塗装の全工程に登場する、最も重要なツールの一つです。種類ごとの特性を理解して使い分ければ、作業スピードも仕上がりも格段に変わります。

これからサンダーを揃えていく方には、まずダブルアクションサンダー1台から始めることをおすすめします。慣れてきたらディスクサンダーやオービタルサンダーを追加して、作業の幅を広げていってください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。この記事が、道具選びの参考になれば嬉しいです。

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