こんにちは、板金ボーイです。
今回はスプレーガンを「用途別」に紹介していきます。
スプレーガンって種類が多くて「結局どれを買えばいいの?」と迷いますよね。メーカーのカタログを見ても専門用語だらけで、初めて選ぶ方には正直ハードルが高いと思います。
この記事では、塗装工程ごとに「この用途ならこのスペックを選ぶと失敗しにくい」という基準と、各ジャンルのおすすめモデルをまとめています。「まず1本目に何を買うか」の参考にしてもらえたら嬉しいです。
ジャンル① サフェーサー・下地用スプレーガン
下地塗装(サフェーサー)専用のスプレーガンです。口径が大きく(1.6mm〜2.0mm)、粘度の高い塗料をしっかり吹けるタイプが向いています。
選び方のポイント
- ノズル口径:1.6〜2.0mmが目安
- 吐出量が多いタイプ
- 洗浄しやすい構造
📖 もう少し詳しく:重力式と吸上式の違い
スプレーガンには上にカップが付く「重力式」と下にカップが付く「吸上式」があります。現在の自動車塗装ではほぼ100%が重力式です。塗料が重力で自然にノズルに落ちるため、少量の塗料でも効率よく使い切れます。この記事で紹介しているガンはすべて重力式です。
おすすめモデル
- アネスト岩田 KIWAMI(口径1.6mm):粘度の高いサフェーサー向け
- 恵宏 G-25:コスパ重視で下地塗装
サフェーサー専用のガンを1本持っておくと、メインのガンを汚さずに済むので、結果的にガンの寿命も延びます。地味ですが、長い目で見るとコスパの良い投資になるかもしれません。
向いている人
- 初めて下地用ガンを揃える方
- コストを抑えてサブガンを準備したい方
また、ソリッドカラー(単色)の塗装では、スプレーパターンの均一さが特に重要です。次に紹介するガンはその点で優れています。
ジャンル② ソリッドカラー用スプレーガン
白・黒などの単色塗装に使うスプレーガンです。最も使用頻度が高いジャンルで、汎用性の高いガンが選ばれます。
選び方のポイント
- ノズル口径:1.3mm前後
- 霧化が均一なタイプ
- 吹き心地と取り回しの良さ
おすすめモデル
- アネスト岩田 W-101-132BPG(口径1.3mm):王道の汎用ガン
- SATAjet 3000 B RP(口径1.3):ドイツの実力派
- 明治機械 F110(口径1.3):国産で高コスパ
ソリッドは塗りムラが目立ちやすい塗色なので、スプレーパターンが安定しているガンを選ぶと仕上がりの安心感が変わってきます。最初の1本で迷ったら、ソリッドに対応できるモデルを選んでおくと汎用性が高いです。
向いている人
- メインの一台を揃えたい方
- 幅広い塗料に対応させたい方
さらに、メタリックやパール塗装は粒子の並びが仕上がりを左右します。そのため、専用のスプレーガン選びがより重要になります。
ジャンル③ メタリック・パール用スプレーガン
メタリックやパール塗装に使うガンです。微粒化性能(霧の細かさ)が仕上がりに直結するため、高性能モデルが選ばれます。
選び方のポイント
- ノズル口径:1.2〜1.3mm
- 霧化が非常に細かい
- 塗装面に均一に並ぶ「ムラのない仕上がり」が出るもの
おすすめモデル
- SATAjet 1000 S RP J 13(口径1.3):メタリック・パールの最高峰
- アネスト岩田 KIWAMI-1-13B4(口径1.3):高難度塗装専用の上位モデル
- デビルビス GTi-Pro Lite(口径1.3):欧米の名門・コスパも◎
メタリックやパール系は、ガンの霧化性能が仕上がりにダイレクトに影響するジャンルです。予算に余裕がある方は、ここに良いガンを充てると塗装後の満足度が大きく変わるかもしれません。
向いている人
- 高級車・カスタムペイントを手掛ける方
- 吹き心地と仕上がりにこだわる方
一方、クリヤー(上塗り)は最終仕上げ工程のため、ゆず肌やタレを防ぐ塗布コントロールが求められます。
ジャンル④ クリヤー(上塗り)用スプレーガン
最終仕上げのクリヤー塗装に使うガンです。塗膜の艶・肌・滑らかさが「見た目の最終品質」を決めるため、専用ガンを使うのが鉄則です。
選び方のポイント
- ノズル口径:1.3〜1.4mm
- 大気圧・低圧タイプ(飛散が少ない)
- 粘度の高いクリヤーを均一に吹ける性能
📖 もう少し詳しく:HVLPとRPの違い
スプレーガンの仕様でよく見る「HVLP」と「RP」は、エアの使い方の違いです。HVLPは塗料の飛散が少なくロスが減りますが、霧化がやや粗くなる傾向があります。RPはHVLPの省エネ性を維持しつつ霧化の細かさを改善した新しいタイプです。現在のプロ向けガンはRP系が主流になりつつあります。
おすすめモデル
- アネスト岩田 WS400(口径1.3〜1.4):クリヤー塗装の定番中の定番
- SATAjet 5000 B RP(口径1.3):吹き心地と艶の出方が別格
- デビルビス DV1(口径1.3):クリヤー塗装専用の最新モデル
クリヤーは塗装の最終工程です。ここで肌荒れやゆず肌が出ると、磨きの手間が一気に増えます。仕上がりにこだわる方ほど、クリヤー用のガンに投資する価値を実感しやすいと思います。
向いている人
- クリヤー塗装の品質を上げたい方
- 専用ガンを持って仕上がりを差別化したい方
なお、部分補修やタッチアップでは、狭い範囲に正確に吹き付ける小型ガンが活躍します。
ジャンル⑤ 部分補修・タッチアップ用(ミニガン)
ドアの一部やバンパーの小さな範囲を塗るためのミニスプレーガンです。塗料の使用量が少なく済み、細かい部分の補修に重宝します。
選び方のポイント
- ノズル口径:0.8〜1.0mm
- 小型・軽量
- 吹き付け範囲を細かく調整できるもの
おすすめモデル
- SATA mini jet 4400 B RP(口径1.0):部分補修の定番ミニガン
- アネスト岩田 LPH80(口径1.0):小面積塗装に最適
- アネスト岩田 LPH50(口径0.6):超精密塗装向け
部分補修は板金塗装の仕事の中でも出番が多い作業です。ミニガンが1本あると、小さな傷やバンパーの補修で「わざわざ大きいガンを準備しなくていい」という手軽さが生まれます。
向いている人
- 部分塗装の機会が多い方
- タッチアップを綺麗に仕上げたい方
そのため、コストを抑えながらスタートしたい方には、入門用・サブガンという選択肢もあります。
ジャンル⑥ 入門・サブガン用(コスパ重視)
「最初の一本を低予算で揃えたい」「サブガンとして増やしたい」という方向けです。価格を抑えつつ、現場で通用する基本性能を備えたモデルを選びます。
選び方のポイント
- 1万円〜3万円台
- パーツが入手しやすい国産メーカー
- 基本性能がしっかりしている
おすすめモデル
- アネスト岩田 W-71-2G(口径1.3):入門の鉄板モデル
- 明治機械 F111-G(口径1.3):コスパ最強の国産ガン
- 恵宏 ATOM SC G:手頃な価格で初心者にも扱いやすい
最初から高いガンを買う必要はありません。まずは入門モデルで塗装の感覚を掴んで、「自分にとって何が足りないか」がわかってから上位モデルに切り替えるのも賢い選び方です。
向いている人
- DIYで本格塗装に挑戦したい方
- サブガンを増やしたい方
- 予算を抑えてプロガンを試したい方
つまり、用途に合ったガンを順番に揃えていくのが、無駄なく上達できる方法です。
揃える順番のおすすめ
スプレーガンを一気に全部揃える必要はありません。段階的に揃えていくのが現実的です。
まず1本目:ソリッドカラー用
アネスト岩田 W-101-132BPG。これ一本で大抵の塗装はこなせます。
2本目:クリヤー用
アネスト岩田 WS400。仕上がりが一段アップします。
3本目:ミニガン
SATA mini jet 4400 もしくはアネスト岩田 LPH80。部分補修の幅が広がります。
4本目以降
サフェーサー用・メタリック用・SATAなどの高級モデル。作業範囲と仕事内容に合わせて追加していきます。
共通の選び方アドバイス
① 最初は国産メーカーから
パーツ供給・修理のしやすさが圧倒的に有利です。アネスト岩田・明治機械・恵宏のいずれかで揃えるのが安心です。
② 予算が許すならSATAを一本
メタリック・パールの仕上がりが別物になります。クリヤー塗装も格段に綺麗になるので、品質向上に直結します。
③ ノズル口径を意識する
用途に合わない口径のガンを使うと、いくら高級ガンでも仕上がりが落ちます。口径選びは性能と同じくらい重要です。
まとめ|用途別スプレーガン比較表
スプレーガンを用途別に整理するとこうなります。
| 用途 | 口径の目安 | おすすめ定番モデル | 特徴 |
|---|---|---|---|
| サフェーサー・下地用 | 1.6〜2.0mm | アネスト岩田 KIWAMI(口径1.6mm) | 粘度の高い塗料に対応 |
| ソリッドカラー用 | 1.3mm前後 | アネスト岩田 W-101-132BPG | 汎用性が高くメインガン向き |
| メタリック・パール用 | 1.2〜1.3mm | SATAjet 1000 S RP J 13(口径1.3mm) | 微粒化性能が最高峰 |
| クリヤー(上塗り)用 | 1.3〜1.4mm | アネスト岩田 WS400 | 艶と肌の仕上がりが別格 |
| 部分補修・ミニガン | 0.8〜1.0mm | SATA mini jet 4400 B RP | 小型で取り回し抜群 |
| 入門・サブガン | 1.3〜1.5mm | アネスト岩田 W-71-2G(口径1.3mm) | コスパ最強の国産モデル |
「メーカーで選ぶ」よりも「用途で選ぶ」方が、結果的に自分に合ったガンを買えます。ぜひ自分の塗装スタイルに合った一本を見つけてください。
次回はコンプレッサーとスプレーガンの組み合わせ方を解説する予定です。お楽しみに!
最後まで読んでいただきありがとうございます。板金塗装の道具や現場のリアルな使い方を、これからもプロ目線で紹介していきます。
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